ムーミン

ムーミン展 〜 THE ART AND THE STORY 〜

久しぶりの投稿です。みなさま、秋を楽しんでますか?

昨日の10月21日(火)、札幌芸術の森美術館で開催されている「ムーミン展 〜 THE ART AND THE STORY 〜」に行ってきました!

一言でいうと、素晴らしかった!あまりにも見入ってしまい、2時間半くらいかけて、1つ1つの作品を丁寧に観賞してきました。正直、こんなに真面目に観賞したのは初めて(笑)ムーミンの世界に入り込んでしまい、ファンになりました。今までの人生損してた…!

それでは感想を述べたいと思いますので、お時間がある方はお付き合いください。

長いけど伝えたい前置き

最近インスタのストーリーにも上げてますが、私は最近西洋絵画にどハマりしていて、Pen Booksや名画の読み方の本を読みあさったり、絵画の見方を解説している映画やドキュメンタリーを観るようになりました。時代の移り変わりによって、それぞれの画家が乗り越えてきた苦悩と葛藤を読みながら、アートってこうやって変化していったんだなって思うと、本当に見応えがあります。

例えば、私は世界中の美術館に足を運んだことがありますが、「有名だから、せっかく近くまで来たから、観光がてらに寄っておく」とか「有名な絵画だけ予め少し予習をしておいて美術館に見に行く」程度だったんですけど…。なんてもったいないことをしていたんだ!と今になって思います。

だって、美術館のイメージって、宗教画から始まって、肖像画に変わって、たまに彫刻とかが出てきて、景色や果物、動物の絵になっていくイメージじゃないですか。なんでいつもお決まりなんだろう、宗教にもそんな詳しくないし…つまんないな、って思っていたの。

でもそれには理由があって、「絵を描く」という行為自体が自由なことではなく、職業だったってこと!昔の画家は、「画家=宗教画を描く人」だったのよ!宗教画を描いていた理由は、字が読めない国民に宗教を広めるため。(宗教画を描くことに賛否両論もあったんだけどね。偶像崇拝が禁止だったから。)

これがまた面白くて、教会の窓から入る光を計算して描かれたものや、暗い教会の中でキャンドルの火が灯される中、そのキャンドルの炎の揺らめきの光で絵が動いて見えるような構成のものもあったりして、とっても深いの!レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」なんかは強烈で、今までカラフルな色で当然のように描かれていた天使の羽が、この世に存在する鳥の羽に変わった瞬間。「目でみた物しか描かない」という科学的な発想のレオナルドの作品は、読んでいて「本当に彼は天才だな」って圧倒させられるし、その時代の人に受け入れてもらえない彼の葛藤が伝わってくる作品で、実に面白い。

で、そこから経済や文化が発達するに連れて、お金持ちの貴族の肖像画を描くようになっていく。宗教画から肖像画に以降する時代ね。つまり、絵画が権力者や裕福層の「娯楽」になっていくのよね。

それから日本の浮世絵がヨーロッパに渡って、みんな衝撃を受ける。なぜならそこには「農民」が描かれているから。こうやって、どんどん庶民も手が伸ばせるような作品が出来ていって…

なんでこんな話をしてるかというと、実はムーミンの著者「トーベ・ヤンソン」さんも小説家であり、画家であるから!彼女は「細い線で小さく細かい絵を書くのが得意な作家」なので、原画やスケッチや挿絵の見応えが抜群。しかも、このトーベさんも、ゴッホやゴーギャンを魅了した「葛飾北斎」などの浮世絵の作品との類似点が多く、トーベさんの作品の隣に浮世絵が飾られています。やっぱりジャポニスムなんだな〜。

そして、トーベさんの作品でもう1つ魅了させられたのは、彼女の水彩画。

絵画について理解すると「自分でもこんな作品を描いてみたい!」と思うようになり、油絵か水彩画を始めようと思っていたところ、YouTubeの「Watercolor by Shibasaki」さんに出逢いました。彼の作品に魅了され、ちょうどAmazonで水彩画キッドを買ったところ!このタイミングだから、きっと「水彩画を始めよ!」というサインだと思う(笑)

自分で始めると、きっと違う視点からも絵画を楽しむことができると思うから、その理解を深めるために、挑戦していきたいと思います。

ということで、ムーミン展の感想に移ります(笑)

ムーミン展の感想

ここからはムーミン展の感想に入りたいと思います。ムーミンを知らなかった私なりに、今日学んだことを書きます。

まず、「ムーミン展」というくらいだから、子どもが多いのかな〜と思っていたら、年齢層は高め!ムーミンがアニメとして日本で放送されたのは、1969年10月、つまり今から50年程前のこと。その頃子どもだったひとたちからしてみたら、きっと懐かしいんだろうなぁ。第二次世界大戦は1939年から1945年。その頃の厳しい生活の中で放送されたアニメだからこそ、きっと人の心に残ってるんだろうな。展示会でも「お嬢さん、どちらからいらしたの?」「私は旭川から」「私は紋別から」北海道の遠くから札幌まで足を運んでる方が多くて、それも御老人。車椅子の方や杖をついてる方が多く見受けられ、ムーミンは多くの人に愛されてるんだなぁ〜って、なんだかほっこり☺️💓

そもそもムーミン知ってる?ムーミンはこうして誕生した。

Nami
Nami
ムーミンは…あれはカバ?なのかしら?そして、玉ねぎのような頭の、赤い服を着た小さいお婆さん。アニメか何かなのかな?文房具屋さんに行ったら目にするけど、アニメもみたことないな…

私のムーミンに対する知識はこの程度でした。

そもそも、ムーミンは、フィンランドの作家「トーベ・ヤンソン」さんの「ムーミン・シリーズ」と呼ばれる一連の小説が始まりだったんです。しかも、カバではなく、トロールだそう。(トロール:北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種)

しかも、ムーミンは彼女が描いた架空のキャラクター。彼女がストックホルムの工芸専門学校に通っていた10代の頃、寄宿先のエイナル叔父さんが、夜中に台所でつまみ食いをした姪にこう言ったそうです。「レンジ台のうしろには、ムーミントロールといういきものがいるぞ。こいつらは首筋に息を吹きかけるんだ。」その時のイメージが強烈に残っていたんだとか。

そして、弟と喧嘩したときにトイレに落書きとして描いたのが始まり。それから彼女の作品にたびたび登場するトロール。でも、これは決して今のムーミンのように可愛らしいものではなく、目が赤く、体は真っ黒ですから、本当に怖い怪物のような感じでした(笑)しかも、最初の頃のムーミンは、現在のムーミンよりも少し痩せていたの!

それから第二次世界大戦が始まって、フィンランドも戦争に巻き込まれていきました。彼女は戦争に強く反対していたので、独裁者たちを痛烈に笑いのめす風刺画を描くようになっていったそう。そんな中、彼女自身が「戦争のない、平穏な、平和な世の中」を求めるようになって、誰かのためではなく、自分のためにムーミンを書くようになったそう。

だから、ムーミンの世界は、第二次世界大戦真っ只中とは思えないような、心が温まるような作品なのよね。

彼女自身のために描いた作品

ムーミン一家の家にはたくさんの訪問者が訪れます。「窓を壊さないでください。鍵は外の壁にかけてあります。」これは、ムーミン一家の家の窓に貼られた紙。たった一言だけど、他人を受け入れる、とっても温かみが伝わるメッセージですよね。

「誰かをHAPPYにするため」とか「子供に夢を与えるため」ではなく「彼女自身のため」に書いた作品、ムーミン。それでも今日までたくさんに人に愛されているのは、彼女のメッセージがたくさんの人の共感を得ているから。

ということで、私もムーミンのアニメを観てみたんだけど、その意味がよ〜くわかりました。いくつか抜粋してお話したいと思います。

アニメ第3話の「浜で見つけた難破船」

例えば、第3話の「浜で見つけた難破船」このストーリーの中で、世界中の切手コレクションを集めた「ヘムレンさん」というお爺さんに出逢います。

ヘムレンさんは、この先の人生、何をしていいかわからなくて苦しんでいます。ヘムレンさんの切手のコレクションは世界で1番。欠けてる切手は1枚もありません。

ムーミンは、世界中の切手を集めて幸せのヘムレンさんがなぜ苦しんでいるのか問います。そこで、ムーミンの親友のスナフキンが「ヘムレンさんは、一生懸命切手を集めている人から、ただ切手を持っているだけの人に変わってしまったんだ。」と言います。そしてムーミンが「目的に向かって一生懸命やってる時は苦しいこともあるけど、本当は楽しいんだね!」と、なぜヘムレンさんが苦しいのか理解するんです。

こういった哲学的なメッセージは、彼女自身へのものだったけれど、読者や視聴者への心にも響くんだと思います。

第6作「ムーミン谷の冬」

ムーミンが人気になるにつれて、トーベさんは押し寄せてくる仕事の山に疲れてしまいます。元々自分は「画家である」と考えていたトーベさんから、絵を描く時間が奪われてしまったんです。

そこで出会ったのが、彼女のパートナーとなるグラフィックアーティストのトゥーリッキ・ピエティラさん。彼との交際によって、彼女が今後この世界とどのように向きあうべきかについて考えます。そして、この体験をそのままムーミンの世界「冬」に置き換えたのです。

ムーミンは、冬の間は冬眠しますが、今回はムーミンがその冬眠の真っ只中、1人だけ目を覚ましてしまいます。ムーミンにとって、まったく見知らぬ世界である「冬」と初めて向きあう姿を描いた「ムーミン谷の冬」

この作品で、いくつかの文学賞だけでなく、挿絵に対しての美術賞を受賞文学します。ただ単に子ども向けの本という位置付けではない、美術・哲学・言論・精神医学など様々な分野からの注目を集める存在になったんです。

こうして連載は続いていくのですが、第9作「ムーミン谷の十一月」の原稿を書き上げたとき、トーベさんの母・シグネさんが他界してしまいます。

第9作「ムーミン谷の十一月」

この「ムーミン谷の十一月」がなんともいえないストーリーで、母の他界でムーミン一家を書けなくなったトーベさんの想いが感じられます。

ストーリーとしては、それぞれのキャラクターが問題を抱えていて、ムーミン屋敷に集まってくるけれど、ムーミン一家は不在。それでもムーミン一家の帰りを待ちながら、みんなで共同生活を送ります。その過程で、彼らの問題は思いもよらない形で解決していきます。物語は最後に、ムーミン一家の帰還を予感させ、希望とともに終わります。

きっと、ムーミン一家とのお別れは、母とのお別れだったんだろうなって。

心に残った作品

中でも心に残った作品が、アドベントカレンダーの絵。

クリスマスツリーが月明かりで照らされて、その隣にムーミン一家の家があって、窓から家の中の明かりがもれてるの。周りが雪で覆われてるから、月の光が白い雪に反射してキラキラしてて、かと思いきや、外の寒さを感じさせるかのように、家の前を流れる川には氷も浮いていたり、川の色も暗い。

その明暗の対比からか、家の中の暖かさ、家族で過ごすクリスマスの暖かさみたいなのが滲み出てる絵で、ジーンとして、15分くらい、じっと見入って妄想していました。

Nami
Nami
「文房具屋さんに置いてるムーミングッズ」から「芸術」へ、ムーミンに対する印象が一気に変わった1日でした。これからムーミンシリーズを読破して、アニメも全部みて、水彩画の参考にもしたいと思います💓今はとりあえず思いついたことを一気に書いたので全くまとまっていませんが、また後日この記事を編集していきたいと思います。

 

Mme Banane
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